蚊などの害虫から人などを守るための箱状の網、それが蚊帳(かや)です。虫は通さず風は通すため、1mm程度の網目となっており、麻などの繊維、のちに化学繊維でも作られるようになりました。通常、室内に吊して就寝時に用いることが多く、簡単に取り付け・取り外しができるよう長押(なげし)のくぼみがフックをかけるのに利用されていました。また、長押に鉤を打ち付けておき、それに輪型の釣具を掛ける方式もありましたが、その長押そのものが現代の日本家屋からは消滅しつつあります。
日本には中国から伝来しました。当初は貴族などが使っていましたが、江戸時代には庶民にも普及しています。しかし、殺虫剤や下水の普及による蚊の減少および気密性の高いアルミサッシの普及に伴う網戸の採用、さらに空調設備の普及などにより、昭和の後期にはほとんど使われなくなってしまいました。逆に日本国外では、蚊帳が普及しつつある地域もあります。マラリアの被害に悩まされるアフリカ諸国や東南アジアなどで、低コストな蚊対策として注目を集めています。
そんな蚊帳ですが、電気も薬品も使わない防蚊手段であるため、エコロジーの観点や薬品アレルギー対策として日本で近年再び見直され始めているようです。
